ブームが去った頃に
同僚から薦められて読んでみました。
「舟を編む」あらすじ
コミュニケーションが苦手でいつも変人扱いされていた主人公が辞書『大渡海』の編集という職務に就いてから成長していく物語。彼を取り巻く人間模様と主人公だけでなく彼の周りの人間から見た心情描写もある。
まとめ
辞書の改編作業ってなんて膨大な作業なんだろう。
でも、なんで、いったいどうやって、どういう変化でこんなにも立派に成長したのか?
その推移の描写が雑に感じてしまった。
奥さんも彼と結婚した決め手とか、奥さんのこれまでの人生からの心理描写ももう少しほしかったと思ったのは私だけでしょうか?
ある本に、概念を的確に伝えられる言葉は存在しない。それでも人間は、人間同士でコミュニケーションをとるために言葉を発明した。完璧には伝えられないけれど、同じ言葉を共有することで、ある程度分かりあえる手段を身に着けることができるようになったという。この感想文を書くにも、思っていることが正確に書けているかはわからないし、人に何かを伝えるにしても、言葉の選び方ひとつで人をプラスに動かすことができたり、逆にマイナスに働くことになったり。
言葉とは、概念を正確に伝えられるものではないという前提でいかに的確な言葉を選んで伝えるか、について考えさせられる一冊でした。
それと、紙の質(特に辞書には「ぬめり感」)にまで気を配ったことがなかったけど、この本を読んでから、辞書だけでなく、パッケージとかいろんな紙質もを気にするようになった。
まじめという、主人公に影響を受けて変わっていく、まじめとは真逆の性格の西岡さんの内情描写はよかった。一見何でもそつなくこなす人の葛藤、覚悟を決めた後の清々しさがよかった。
あと、何か打ち込めるものがあって、それを仕事に出来る事がどんなに幸福か。いまだにそこまで情熱的に打ち込めるものがないからある意味うらやましい。
舞台が神保町っていうのが親近感。