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レッサーユリィと『Cafe Bauer』

レッサーユリィと『Cafe Bauer』

レッサーユリィの作品を見ていたら、同じカフェのシーンがいくつかあるのに気が付きました。
真相はわかりませんが、おそらく彼が通っていたなじみのカフェなのだろうと想像します。

どれもが夜。

同じカフェでも、構図や描く人物によって雰囲気が違うのが見て取れます。

『Cafe Bauer』(カフェ バウアー)の歴史もおもしろかったので、よかったら読んでみてくださいね。

ちなみに、作品のタイトルに「Im」とあるのがほとんどですが、これはドイツ語で、「~の中に」という意味です。つまり、作品のタイトルのほとんどは、「Cafe Bauerの中で」または「Cafe Bauerにて」という意味になります。

目次

『Cafe Bauer』を舞台にした作品

Im Café Bauer, 1887

Im Café Bauer, 1888-89

Im Cafe Bauer, 1895

Im Cafe Bauer, 1898

Evening at Cafe Bauer, 1898

Café Bauer, 1906

Café Bauer, 1913

Café Bauer

『Café Bauer』について

レッサーユリィが通っていたと思われる『Cafe Bauer』はベルリンにあります。

このカフェはベルリンで最初にできたウィーン式コーヒーハウスのひとつで、ベルエポック期*を象徴する豪華な外観から、このカフェは当時有名だったようです。

*“ベル・エポック(Belle époque)”とは、19世紀後半から20世紀初頭までの、パリが最も繁栄したといわれる華やかで美しき時代。フランスの産業革命が進み、消費文化も栄え、経済的にもパリが大変豊かな時代でした。“ベル・エポック(Belle époque)”時代の象徴である装飾芸術、”アール・ヌーヴォー(Art Nouveau)”は、花や植物などのモチーフを施し、自由曲線を組み合わせた革新的なデザインが有名。また、新素材であった鉄とガラスを組み合わせた建築様式も”アール・ヌーヴォー(Art Nouveau)”の代表的なもの。移ろいゆく自然の光を表現していると言われる 引用元:We love Expedia

コーヒーハウスといっても、今でいう喫茶店やカフェのようなものではなく、今でいうデパート並みの規模だったようです。1877年にオープンしたこのカフェには、1階に大きなホールを構え、ビリヤードルーム、読書室、女性用の部屋もありました。

 

cafebauer1900 (1)

引用元:wikipedia ドイツ語版

 

女性用の部屋?というのが引っかかったのですが、当時カフェに女性が訪れるというのは適切とは考えられていなかったそうです。

従来カフェというのは、堕落し退廃した、男性の訪れる場所だったのですが、このカフェが女性専用ルームを設けたことで、女性でもカフェを訪れることができるようになりました。

当時、ウェイトレスも男性の目にさらされるのは好ましいとは考えられていないぐらいだったそうです。その後、中流階級の人々から次第に受け入れられていくようになります。確認されるCafe Bauerを舞台にした彼の作品は、カフェのオープン後10年経過しているので、女性客にも浸透し、女性専用ルームも必要なくなってきたのかもしれません。

 

Café Bauerは、1884年に最初に電灯を導入した建物です。1886年になると、蒸気タービンでできた発電装置が地下室に設置され、区画全体に電力が供給されるようになります。

タービンは非常に熱くなったため、ウェイターはシャンパンセラーの氷でタービンを冷やさなければならななかったと言われています。

従来、新聞を読むのに薄暗いガスやろうそくの明かりを頼りにせざるを得ず、暗すぎてほぼ読めなかったので、Cafe Bauerが電気照明を導入したという事実は、当時の人々に対する革新的なホスピタリティでした。

しばらくすると、ベルリン最初の公共発電所が建設され、街灯は電気ランプ付きのガス灯に置き換えられていきます。

おわりに

こういった背景も知ったうえで改めて絵をみると、より絵の理解が深まり、楽しくなります。

確かにカフェの明かりは電灯だし、当時このカフェは表参道に新しくできた話題のカフェみたいな、時代の先端?をいくカフェだったんだなと想像してしまいました。

そんな先鋭的なカフェに通っていたレッサーユリィ。彼も新しいもの好きだったのでしょうね。そこに訪れる人々をどんな想いで描いていたのでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました

 

 

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